学校へ行けなくなると、昼夜逆転をしてゲームばかりする子どもは少なくありません。
そんな姿を見ると、母親は不安になります。
・「学校には行けないのに、ゲームはできるの?」
・「このままゲーム依存症になってしまうのでは?」
かつての私も、全く同じ不安を抱えて毎日悩んでいました。
娘も学校へ行けなくなってからは、夜中はゲームをして朝方眠り、夕方まで起きてこない生活を送っていました。
知り合いに相談すると、「たとえゲームでも、今やりたいことがあるのならやらせてあげたらいいよ。」と言われましたが、当時の私は、その言葉をどうしても受け入れることができませんでした。
「娘はもう現実の世界では生きられなくなってしまった」
「ゲームという架空の世界に逃げてしまったんだ」
当時は本気でそう思い、絶望していました。
でも今振り返ると、それは娘の現実ではなく、私自身の「不安」が見せていた景色だったのだとわかります。
ゲームをしていたのではなく、脳を休ませていたのかもしれない
今だからわかることですが、娘はゲームを楽しんでいたというより、「心と脳を休ませようとしていた」のだと思います。
強いストレスが長く続くと、人の脳は疲労し、集中力や判断力が低下し、生きるために膨大なエネルギーが必要になります。
不登校になるお子さんは、とても真面目で責任感が強く「頑張ること」が当たり前になっている子が少なくありません。
・「期待に応えなければいけない」
・「失敗してはいけない」
・「もっと頑張らなければ」
そんな思いが積み重なると、脳は常に緊張しエネルギーを消費し続けてしまいます。
どんな車でもノンストップで走り続ければエンジンが熱を持ちますよね。
人の心と脳も全く同じです。
学校を休んだからといって、子どもたちの頭の中まで休めているわけではありません。
・「みんなは学校へ行ってるのに…」
・「私はこのままでいいのかな?」
頭の中では、そんな罪悪感や焦りが24時間ぐるぐると巡っています。これでは脳が休まるはずがありません。
実はゲームをしている時間だけが、その「苦しい雑念」を強制的にシャットアウトできる唯一の時間だったのです。
脳科学的にも、ゲームに没頭することは、疲弊した脳をこれ以上傷つけないための「心の防衛反応」だと言われています。娘にとってゲームは、現実逃避ではなく、疲れきった心と脳をこれ以上壊さないための「一時的な避難所」だったのです。
ですが、本当に娘の心を回復させたのは、ゲームそのものではありません。
ゲームという避難所にいる娘を私が無理に責めず、「家庭を、心と脳が100%休められる安心な場所」に整えて行ったからこそ、娘の心は少しずつエネルギーを蓄えることができたのだと思います。
少しずつ心と脳が回復すると世界が広がっていった
ゲームと睡眠を繰り返す娘を見て、当時は「このまま、ずっとこうだったらどうしよう」と不安でしたが、その生活はずっとは続きませんでした。
ある日、ふと漫画を読むようになりました。
テレビでお笑い番組を見てクスッと笑うようになりました。
料理をする日もありました。
友達と会う日も増えていきました。
そして最後は、娘が自分自身の意思で「学校に行く」とを決めました。
これは、私がゲームを無理にやめさせたからではありません。
心と脳が休まり、「行こう」と思えるエネルギー(心の貯金)が戻ってきたからです。
親が無理に行かせようとしても、長続きはしません。やはり「自分から行こう」という気持ちが何より大切なんだと実感しています。
最後に:お母さん、焦らなくても大丈夫です
ゲームばかりしている我が子の姿だけを見ると、焦りや不安で胸が張り裂けそうになる気持ちは痛いほどよくわかります。
でも、そのゲームの画面に向かう背中の向こうには、誰にも言えない苦しさや疲れを必死に抱えている小さな心があります。
だからこそ、今はゲームをやめさせることよりも、その子が安心して休める環境を作ってあげることの方が何倍も大切です。
家庭が安全な場所になり、心と脳の充電が満タンになれば、子ども自然とゲームの世界から現実の世界へと目を向け始めます。ゲームだけに没頭する必要がなくなるからです。
子どもは、安心できる場所さえあれば、自分の力で少しずつ前へ進み始めます。
お母さん、あなたは一人でじゃありません。まずは一息ついて、お子さんの「心の充電」を一緒に見守っていきましょう。

